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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2026.06.22
脂質異常症は、進行すると動脈硬化を引き起こす病気です。治療は長期的に継続する必要がありますが、数値をコントロールできていれば健康に過ごせる場合もあります。
脂質異常症の進行を抑えるためには、生活習慣の改善や薬物治療を行います。脂質異常症が疑われる場合はまず医療機関を受診し、進行する前に生活習慣の改善や薬物治療を始めましょう。
この記事では脂質異常症の治療目標や、進行を抑える方法について解説します。
目次
脂質異常症の進行を遅らせることは可能

脂質異常症と診断されてから、治療が不要な状態になるのは原則として難しいでしょう。ただし、脂質異常症の進行を遅らせて動脈硬化を防ぐことは可能です。
脂質異常症とは、コレステロールまたは中性脂肪が基準値から外れた状態のことです。生活習慣の改善や薬物治療により数値が基準値に戻っても、治療を中止すれば、数値は再び基準値を外れてしまうでしょう。
脂質異常症と診断されたら、生活習慣の見直しと薬物治療により、長期的に数値をコントロールする必要があります。数値を基準値に保ち続けていれば、健康な人とほぼ変わらない生活を送れる場合もあります。
脂質異常症を放置すると、動脈硬化のリスクが高まる

脂質異常症は自覚症状の少ない疾患です。しかし放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など危険な病気を引き起こす恐れがあります。
脂質異常症が動脈硬化を起こすメカニズムを解説します(※1)。
脂質異常症により血液中の脂質が多くなると、血管に余分な脂が付着します。脂が血管壁にたまってできた塊がプラーク(粥腫)です。プラークによって血管の壁が次第に厚くなると、血管が詰まりやすくなります(粥状動脈硬化)。
プラークが破れると、血小板が破れた部分を修復するために血栓を作ります。血栓が大きくなり血管を塞いでしまうと、血液は血管を通れません。
血液が通れなくなった組織は十分な酸素や栄養が届かず、壊死してしまいます。心臓の血管が詰まると心筋梗塞を、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。
動脈硬化を防ぐためにも、脂質異常症は放置せず早めに治療することが大切です。
脂質異常症の診断基準

脂質異常症は主に、コレステロールと中性脂肪の数値により診断されます。数値は血液検査により測定します。
診断基準は以下の通りです(※1)。
| 検査値 | 基準値 | |
|---|---|---|
| LDLコレステロール(悪玉コレステロール) | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
| 120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症** | |
| HDLコレステロール(善玉コレステロール) | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
| 中性脂肪(トリグリセライド) | 150mg/dL(空腹時採血*)175mg/dL以上(随時採血*) | 高トリグリセライド血症 |
| Non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
| 150~169mg/dL | 境界域高non-HDLコレステロール血症** |
* 基本的に10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする。
** スクリーニングで境界域高LDLコレステロール血症、境界域高non-HDLコレステロール血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。
※診断基準に当てはまる場合でも、すぐに治療が必要ではない場合もあります。
(※1 参考)脂質異常症|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~
脂質異常症の治療目標

脂質異常症の方が目標とする検査値は、リスク区分によって異なります。
リスク区分は持病、性別、年齢、危険因子の個数で決まります。自分がどの管理区分に当てはまるのか知りたい方は、かかりつけ医に相談しましょう。
リスク区分別脂質管理目標値(※1)
| 治療方針の原則 | 管理区分 | LDLコレステロール | Non-HDLコレステロール | 中性脂肪(トリグリセライド) | HDLコレステロール |
|---|---|---|---|---|---|
| 一次予防 まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する | 低リスク | <160 | <190 | <150 | ≧40 |
| 中リスク | <140 | <170 | |||
| 高リスク | <120 | <150 | |||
| 二次予防 生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する | 冠動脈疾患の既往 | <100(<70)* | <130(<100)* |
*:家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮する。糖尿病でも他のリスク病態(非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、慢性腎臓病、メタボリックシンドローム、主要危険因子の重複、喫煙)を合併するときはこれに準ずる。
(※1 参考)動脈硬化性疾患予防ガイドライン・エッセンス|公益財団法人 日本心臓財団
脂質異常症を治療するには?
脂質異常症の治療にはまず、生活習慣の改善が大切です。必要に応じて薬物治療を併用します。
食生活の見直し

LDLコレステロールが高くなる原因として、第一に考えられるのが飽和脂肪酸の摂り過ぎです。また、食事中のコレステロールもLDLコレステロールを上昇させることがわかっています。
脂質異常症を予防・改善するために、食事で気を付けたいポイントは次の7点です(※1)。
- 食べ過ぎず、標準体重をキープする
- 肉の脂身、乳製品、卵黄を控える
- 魚を意識して食べる
- 野菜、未精製穀類(玄米、大麦など)、海藻、大豆を食べる
- 糖質の少ない果物を適度に食べる
- 塩分の多い食事を控える(6g/日未満)
- アルコールを摂り過ぎない(25g/日以下)
運動
運動にはHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やし、中性脂肪(トリグリセライド)を減らす効果があります。
1日30分以上を目安に、中等度強度(楽である~ややきついと感じる程度)の有酸素運動を行いましょう。
有酸素運動の例
- 速歩
- スロージョギング
- 社交ダンス
- 水泳
- サイクリング
- ベンチステップ運動
薬物治療
生活習慣の改善だけで改善しない場合は、薬物治療を行います。治療には主に、スタチン系と呼ばれる薬剤を使います。
脂質異常症治療薬の例(※2)
| 分類 | 薬品名 |
|---|---|
| スタチン | プラバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン など |
| 陰イオン交換樹脂 | コレスチラミン、コレスチミド |
| 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 | エゼチミブ |
| フィブラート | ベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート |
| ニコチン酸誘導体 | トコフェロール、ニセリトロール、ニコモール |
| プロブコール | プロブコール |
| 多価不飽和脂肪酸 | イコサペント酸エチル、オメガ-3脂肪酸エチル |
十分な効果を得るには、継続して服用を続けることが大切です。
脂質異常症が疑われる場合は早めの治療が肝心

脂質異常症は自覚症状に乏しい疾患ですが、進行すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める可能性があります。自覚症状がなくても放置せず、医療機関を受診しましょう。
ふくろうの森クリニックでは耳鼻咽喉科・内科・皮膚科の診療を受け付けており、脂質異常症の治療にも対応しております。
当クリニックは花小金井駅より徒歩5分の場所にあり、ネット予約も可能です。
「脂質異常症と診断された。治るか心配……」
「脂質異常症を治療するために、通いやすいクリニックを探している」
このような方はぜひ、一度当院へご相談ください。
脂質異常症に関するQ&A

脂質異常症に関して、よくある質問をまとめました。
脂質異常症を改善するために食べた方がいいものは?
食物繊維や不飽和脂肪酸(DHA、EPAなど)を豊富に含んだ食品を意識して摂るといいでしょう。
動脈硬化を予防するためにおすすめの食品の例(※1)
- 未精製穀類/雑穀(玄米、七分つき米、麦飯、雑穀、ライ麦パン、全粒粉パン、そば)
- 魚(特に青背魚)
- 大豆、大豆製品(納豆、豆腐、高野豆腐)
- 緑黄色野菜、その他の野菜
- 海藻、きのこ、こんにゃく
- 甘味の少ない果物
脂質異常症の人が食べてはいけないものは?
絶対に食べてはいけない食品はありませんが、脂質や糖質の多い食品は控えた方がいいでしょう。また、アルコールも動脈硬化の危険因子であることがわかっています。
動脈硬化を予防するために控えたい食品の例(※1)
- 動物脂(牛脂、ラード、バター)、ココナッツ油
- 脂身の多い肉(霜降り肉、ひき肉、鶏皮)
- 肉加工品(ベーコン、脂の多いハム、ソーセージ)
- 内臓類、卵黄
- 生クリーム、ナチュラルチーズ
- 甘味飲料、アルコール飲料
痩せているのに脂質異常症になることはある?
肥満は脂質異常症の発症に関係していますが、痩せ型の人でも発症することはあります。
肥満以外にも脂質異常症のリスク要因は複数あります。痩せていても脂質の多い食生活を送っていたり、お酒をたくさん飲んだりしていると、脂質異常症を発症するケースがあります。
また、脂質異常症の中には家族性高コレステロール血症(FH)※という病気があります。家族性高コレステロール血症(FH)の方は、遺伝的にLDLコレステロールが高くなりやすいため、瘦せ型でも動脈硬化を起こしやすくなります(※2)。
※家族性高コレステロール血症とは血液中のLDLコレステロールが高くなり、若いうちから動脈硬化が進む病気
(※1 参考)動脈硬化を知る×動脈硬化を予防する食事|一般社団法人 日本動脈硬化学会
(※2 参考)家族性高コレステロール血症(FH)とは? 一般社団法人 動脈硬化学会
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