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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人

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2025.09.08

ダニは室内に一年中存在するため、ダニアレルギーを持つ方は日々の継続した対策が大切です。

ダニアレルギーは通年で症状が現れやすく、不快な毎日を過ごしている方も少なくありません。

この記事では、ダニアレルギー 対策として、部屋の掃除、寝具ケア、湿度管理などの家庭で実践できる方法を中心に紹介します。

ダニアレルギーに関する誤解や偏見の背景も解説しているので、正しく理解するきっかけとしてもご活用ください。

ダニアレルギーは”恥ずかしい”ことではない!誤解されやすい3つの理由

ダニアレルギーは決して恥ずかしいことではありません。症状は幅広く、多くの方が日々悩まされているアレルギー疾患です。

しかし、ダニアレルギーの誤った情報や偏見による誤解から、不当な評価を受ける場合があります。

特に以下の3つの理由から、誤解を受けやすい傾向があります。

  • 理由①ダニアレルギーは「部屋が汚い」と思われてしまう
  • 理由②ダニ・ハウスダストアレルギーは「親のせい」と誤解されることも
  • 理由③「ダニ=ハウスダストアレルギー」と混同している

それぞれの背景や誤解が生まれる理由について、詳しく解説していきます。

理由①ダニアレルギーは「部屋が汚い」と思われてしまう

ダニアレルギーは「部屋が汚れているから発症する」と誤解されることがあります。

誤解の背景には「ダニ=不衛生な環境」という固定的なイメージが根付いていることが考えられます。

しかし、実際は清掃を徹底した住環境でもダニは存在するため、誰にでも発症の可能性があるのです。

アレルギーの発症には体質や遺伝的要因など複数の因子が関与し、衛生状態だけが原因ではありません。

誤った認識は、不当な偏見や自己責任感を生みかねません。正しい知識を広めることが、偏見をなくす第一歩となります。

理由②ダニ・ハウスダストアレルギーは「親のせい」と誤解されることも

ダニを含むハウスダストアレルギーは「親の掃除や衛生管理が不十分だから発症した」という誤解を招くことがあります。

また、アレルギー体質が遺伝する事実から、「遺伝要因=親の責任」と捉える場合もあるようです。

確かに遺伝的素因はアレルギー発症のリスクを高めますが、必ずしも子どもに症状が出るとは限りません。

アレルギーの発症には環境と遺伝の双方が複雑に関与しているため、過度な心理的負担や社会的プレッシャーを感じる必要はないでしょう。

理由③「ダニ=ハウスダストアレルギー」と混同している

ハウスダストとダニアレルギーの違いが十分に理解されていないことも、多くの誤解を生みます。

ハウスダストにはダニ以外にも、カビ、繊維くず、ペットの毛など複数のアレルゲンが含まれます。

「ダニ=ハウスダスト」という誤解は「掃除不足が原因」という偏った見方を助長し、不当なスティグマを与える恐れがあります。

一方、本人が症状を自覚していても、正確な原因が特定されていないケースも少なくありません。

早期の改善を目指すには、医療機関でのアレルギー検査による原因の特定が不可欠です。

なぜダニアレルギーになる?原因は誰にでも起こりうる免疫の過剰反応

ダニアレルギーは、ダニの死骸やフンに含まれるタンパク質に対して、免疫系が過剰に反応することで発症します(※1)。

本来、免疫反応は身体を守るシステムですが、特定の物質に過剰反応すると、鼻炎や咳、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が現れます。

ダニアレルギーの発症には、体質、遺伝、環境など複数の要因が関与するため、ダニが存在する環境であれば誰にでも起こりうるのです。

アレルゲンへの曝露量が蓄積されることで、大人になってから初めて発症する場合もあります(※2)。

(※1 参考)日本アレルギー学会|アレルギー疾患の手引き《2022年改訂版》

(※2 参考)安枝 浩|ダニアレルゲンの免疫生物学とアレルギー疾患

ダニアレルギーの主な症状と特徴

ダニアレルギーの代表的な症状には以下が挙げられます。

  • 呼吸器症状:くしゃみ、鼻水、咳など
  • 皮膚症状:湿疹、かゆみ、蕁麻疹など
  • 目の症状:かゆみ、充血、流涙など

症状は単独で現れる場合もありますが、複数が併発するケースも少なくありません。

気管支に敏感な方や喘息の既往がある場合、呼吸器症状が重症化しやすく注意が必要です。

また、目や皮膚のかゆみを我慢できずにこすったり掻いたりすると、症状が悪化する恐れがあります。

特に、子どもは症状を詳しく訴えられないこともあるため、鼻・目・皮膚の不快感を繰り返し示す場合は、早めに医療機関の受診を検討しましょう。

ダニアレルギーについて詳しくはこちら

家庭でできるダニアレルギー対策

ダニは一年を通して室内に生息し、特に梅雨〜夏の高温多湿期は増殖しやすくなります。

花粉症のように特定の季節だけ対策するのではなく、年間を通じた継続的な管理が重要です。

家庭で実践できる主な対策は以下の4つです。

  • 部屋の湿度は50%以下を維持する
  • 掃除機がけは週2回以上
  • 寝具の手入れは週1回以上(洗濯・高温乾燥・吸引)
  • 防ダニグッズの活用(防ダニシーツ、空気清浄機など)

それぞれの対策について、具体的な方法や注意点を紹介します。

部屋の湿度は50%以下を維持する

ダニは湿度60%以上の多湿環境を好み、温度20〜30℃で湿度70%以上になると急激に繁殖します。

特に梅雨や夏場は高温多湿になるため、除湿器やエアコンの除湿機能を積極的に活用しましょう。

また、押し入れやクローゼットなどは湿度が上がりやすく、長期間締め切った状態にならないように注意が必要です。

部屋ごとに湿度は異なるため、各部屋に湿度計を設置して管理を行うことが理想です。

掃除機がけは週2回以上

ダニはフケ、髪の毛、ホコリなどを餌にして繁殖するため、こまめな掃除機がけで部屋の清潔を維持することが重要です。

ダニ対策における掃除機がけのポイントは以下の3つです。

  • 1㎡あたり20~30秒
  • 掃除機を使う際は換気も行う
  • 紙パックや掃除機フィルターを定期交換・清掃

床面だけでなく、家具の裏側や隙間、敷物の下などのホコリが溜まりやすい場所まで、丁寧に掃除機をかけましょう。

掃除機を使用する際は換気を行い、空気中に舞い上がったアレルゲンを室外へ排出することが大切です。

また、掃除機の紙パックやフィルターにアレルゲンが蓄積するため、定期的な交換と清掃もダニ対策に欠かせません。

寝具の手入れは週1回以上(洗濯・高温乾燥・吸引)

室内環境におけるダニアレルゲンの主要な曝露源は寝具です。(※1)

寝具は週1回以上の洗濯で死骸やフンを除去し、天日干し後には掃除機で残留アレルゲンを吸引します。

生きたダニは水洗いだけでは十分に駆除できないため、高温の加熱処理が必要です。

ダニは60℃以上で瞬時に死滅し、50℃でも20〜30分の加熱で駆除効果が期待できます。

高温でダニを死滅させる際は、布団乾燥機やコインランドリーの高温乾燥などを活用するとよいでしょう。

(※1 参考)阪口 雅弘,白井 秀治|室内環境中におけるダニアレルゲン対策

防ダニグッズの活用(防ダニシーツ、空気清浄機など)

ダニアレルギー対策には、市販の防ダニ製品を活用するのも有効な手段です。

例えば、空気清浄機は空気中に浮遊するダニの死骸やフンなどのアレルゲンの捕集・除去効果が期待できます。

寝具には、高密度に織られた防ダニシーツを使用することで、ダニアレルゲンの侵入・接触を抑えます。

なお、防ダニ加工製品の中には薬剤を使用したものもあります。小さな子どもや敏感肌の方がいる家庭は、製品選びには注意が必要です。

ダニアレルギーの医療的対策|体質改善を目指す【舌下免疫療法】

舌下免疫療法は、アレルギーの原因であるダニ抗原を少量ずつ体内に取り入れ、免疫反応を調整しながら体質改善を目指す治療法です。

効果の現れ方には個人差がありますが、アレルギー症状の改善を実感する方は約70〜80%と報告されています(※1)。

舌下免疫療法治療方法の詳細
投与方法アレルゲン錠剤または液を舌下投与し、1分程度保持した後に飲み込む
実施場所初回は医療機関で実施、以降は自宅で投与
投与頻度1日1回
治療期間3年以上の長期継続が推奨
適応年齢原則5歳以上が対象 ※当院では6歳以上から開始可能

※2

舌下免疫療法を開始するには、アレルギー検査によるダニアレルゲンの特定が必要です。

治療の適応可否は、年齢、既往疾患、服薬状況などから総合的に判断されます。

治療効果や安全性を高めるには、投与時の体調を記録し、定期受診で医師と共有することが大切です。

(※1 参考)鳥居薬品株式会社|ミティキュアダニ舌下錠3,300 / 10,000JAU

(※2 参考)日本アレルギー学会|アレルゲン免疫療法の手引き2025

よくある質問

ダニアレルギー対策についてよくある質問をまとめました。

Q.ダニアレルギー対策はどの季節にやればいいですか?

ダニは一年を通して発生するため、対策は継続的に行うのが理想です。

特に梅雨〜夏の高温多湿期はダニが繁殖しやすいため、念入りな対策を心がけましょう。

Q.ダニアレルギー対策でロボット掃除機は効果がありますか?

ロボット掃除機は毎日の掃除を自動化でき、継続的なアレルゲン減少手段として有効と考えられます。

日本アトピー協会の通信誌【あとぴいなう 2019年9-10月号】では、ロボット掃除機はホコリの舞い上がりが少なく、空気中のアレルゲン拡散を抑えるという情報が掲載されています。

ロボット掃除機の中には、ホコリ巻き上げ量が少ない製品もあるようで、空気中のアレルゲン拡散を抑える可能性が示唆されます(※1)。

ただし、部屋の隅やカーペットなどでは清掃力にバラつきがある場合もあるため、定期的な人の手による丁寧な掃除も推奨されます。

(※1 参考)日本アトピー協会|あとぴいなう 2019年9-10月号

Q.舌下免疫療法はハウスダストアレルギーにも効果はありますか?

舌下免疫療法は、ハウスダストに含まれる「ダニ」のみに効果が期待できます。

ダニ以外のアレルゲンには別の治療法が必要です。

Q.アレルギー検査は何科で受けられますか?

内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、アレルギー科などで受けられます。

迷った場合は、かかりつけ医や小児科、内科に相談して、症状にあった診療科を紹介してもらいましょう。

まとめ

ダニアレルギーの症状は通年で現れやすく、対策は一年を通して継続的に行うことが推奨されます。

各部屋の湿度管理は50%以下を維持し、定期的な掃除と換気、寝具の手入れなどでアレルゲン除去が重要です。

必要に応じて医療機関での治療を取り入れることで、症状の軽減や生活の質向上が期待できます。

ふくろうの森クリニックでは、ダニアレルギーの検査・治療を行っています。

薬物療法、舌下免疫療法のいずれにも対応しており、症状や年齢に応じた治療法を提案しております。

「アレルギー症状で日常生活に支障が出ている」

「家にいると鼻や目がムズムズする」

「子どもがダニアレルギーかも…」

このようなお悩みがある方は、一度ご相談ください。

当院では、ご家族でのご相談も可能です。花小金井駅から徒歩5分。待ち時間の少ないネット予約もご利用いただけます。

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