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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.09.19

ヤケヒョウヒダニ(チリダニ)とは屋内に生息し、ダニアレルギーの原因となるダニの一種です。
ダニアレルギーは鼻水やくしゃみ、目や皮膚のかゆみを引き起こします。
一度発症すると自然には治らないため、症状を抑えるには治療やダニ対策が必要です。
「最近、鼻水やくしゃみがひどい。ダニアレルギーかもしれない」
「ダニアレルギー対策をしたい」
このような方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
ヤケヒョウヒダニはアレルギー疾患の原因になる

ヤケヒョウヒダニは日本の室内に最も多く見られます。
室温で湿度の高いところを好み、アレルギーの原因(アレルゲン)となるダニです。
3人に1人がヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニによるアレルギー疾患に罹患していると言われています(※1)。
ダニアレルギーを発症すると、鼻炎や皮膚炎、結膜炎などさまざまな症状を引き起こします。
「もしかしてダニアレルギーかも」と思ったら、まずは医療機関を受診しましょう。
ダニアレルギーの診断を受けるには、病院で問診や皮膚テスト、血液検査を受ける必要があります。
(※1 参考)繊維製品のダニとその対策(山崎 義一)|Jpn. J. Clo. Res. 2012, Vol.55 No.2

ヤケヒョウヒダニによるアレルギーの症状

ヤケヒョウヒダニによるアレルギーの症状は、皮膚や鼻、目など全身にあらわれます。
主な症状をまとめました。
- アレルギー性鼻炎
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性結膜炎
それぞれの症状について、詳しく解説します。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎には通年性と季節性があり、通年性の多くはダニが原因で発症します(※1)。
通年性は季節に関わらず年間を通して発症します。
アレルギー性鼻炎の症状は次の通りです。
- くしゃみ
- 無色でさらさらした鼻水
- 鼻づまり
- 鼻のかゆみ
アレルギー性鼻炎の発症には免疫細胞が関わっています。
免疫細胞は外的から体を守るためにはたらく細胞です。
ダニが体内に入ると、免疫細胞が化学物質を放出してくしゃみや鼻水を引き起こします。
アレルギー性鼻炎は他の症状と合併する場合もあり、花粉症と比べて皮膚炎や喘息との合併が多く見られます(※2)。
(※1 参考)アレルギーポータル|日本アレルギー学会、厚生労働省
(※2 参考)ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)|日本アレルギー学会
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は遺伝的な要因に加え、ダニやハウスダストなどの環境要因が原因で起こる病気です。
発症すると皮膚のバリア機能が低下して、皮膚の赤みやかゆみが生じます。
一般的に治療にはステロイド外用薬を使います。
また、乾燥を防ぐために保湿剤を使って皮膚を保護します。
アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
発症した場合は、一度改善しても保湿を続けて皮膚を清潔に保つ必要があります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、目に起こるアレルギー症状のことです。ダニのほか、花粉やハウスダストによっても起こります。
アレルギー性鼻炎と同様に通年性と季節性に分かれ、ダニアレルギーは通年性アレルギーに当てはまります。
アレルギー性結膜炎の代表的な症状は以下の通りです(※1)。
- 充血
- 目やに
- 異物感
- かゆみ
- 白目の腫れ
アレルギー性結膜炎が悪化すると、春季カタルを発症する場合があります。
春季カタルを発症すると、まぶたの裏にゴツゴツとしたもの(巨大乳頭)があらわれ、強いかゆみや異物感を生じます。
(※1 参考)アレルギー性結膜炎|日本眼科学会
ヤケヒョウヒダニによるアレルギーを治療するには?

ダニアレルギーの治療には、次の方法があります。
- 薬物療法
- 舌下免疫療法
- ダニ対策によるアレルゲンの排除
薬物療法
薬でアレルギーの症状を抑える方法です。
抗アレルギー薬やステロイドが一般的によく使われています。症状のある場所によって、内服薬のほか点鼻薬、目薬、外用薬が処方されます。
症状ごとによく処方される薬をまとめました(※1~3)。
症状 | 治療薬の一例 |
アレルギー性鼻炎 | 抗アレルギー薬ステロイド点鼻用血管収縮薬生物学的製剤など |
アトピー性皮膚炎 | ステロイド保湿剤タクロリムス抗アレルギー薬生物学的製剤など |
アレルギー性結膜炎 | ステロイド点眼薬抗アレルギー点眼薬 |
症状を抑えるためには有効ですが、あくまでアレルギーによる症状をコントロールするための対症療法です。
アレルギーを根本から治療するわけではないので、注意しましょう。
(※1 参考)2021年版 アレルギー性鼻炎ガイド|アレルギーポータル
(※2 参考)アトピー性皮膚炎|アレルギーポータル
(※3 参考)アレルギー性結膜炎|日本眼科学会
舌下免疫療法

アレルゲンの抗原エキスを舌下から摂取して、アレルギー反応を少しずつ弱めていく方法です。約70%の患者さんに有効と考えられています。
治療を3年以上継続する必要がありますが、アレルギーの根本的な治療が見込めます。
ダニアレルギーの舌下免疫療法に使用されるのが「ミティキュア ダニ舌下錠」という薬です。
ミティキュアはコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニの抗原を含んでおり、1日1回舌下に含んで使用します(※1)。
当院でも、ミティキュアによる舌下免疫療法に対応しております。
▼こちらもおすすめ
ダニアレルギーの治療薬|舌下免疫療法・ミティキュア・市販薬の特徴まで徹底解説
(※1 参考)ミティキュア 添付文書|鳥居薬品株式会社
ダニ対策によるアレルゲンの排除
ダニアレルギーは、ダニのフンやその死骸により起こります。
家庭でできるダニアレルギー対策として、部屋の掃除や換気によりアレルゲンとなるダニを排除しましょう。
ダニは増殖するために60%以上の湿度と、およそ25~30℃の温度を必要とします。
おすすめのダニ対策をいくつか紹介します(※1)。
- ダニが生息しやすい寝具、クッションなどは日光や風にあてるか乾燥機を使用して乾燥させる。
- カーペットや畳に掃除機をかける。掃除機をかける時は、ゆっくりとノズルを動かして吸引する。
- 寝具やクッションなどは丸洗いが可能な製品を選び、こまめに洗う。
- 防ダニシーツを使用する。
▼こちらもおすすめ
ダニ・ハウスダストアレルギー対策ガイド|部屋の掃除・寝具ケア、原因や体質改善まで徹底解説
(※1 参考)室内環境の整備について|アレルギーポータル
当院でもダニアレルギーの治療を承っています

今回はヤケヒョウヒダニによるダニアレルギーの症状、治療や対策について解説しました。
ダニアレルギーは、アレルギーの中でも頻度の高い病気です。
舌下免疫療法によって根本からの改善が期待できます。
ふくろうの森クリニックでは耳鼻咽喉科・内科・皮膚科の診療を受け付けています。
花小金井駅より徒歩5分の場所にあり、ネット予約も可能です。
ダニアレルギーの薬物治療、舌下免疫療法にも対応しております。
「ダニアレルギーを治療したい」
「アレルギーのような症状に悩んでいる。ダニアレルギーかもしれない」
このような方はぜひ、一度当院へご相談ください。
症状や検査の結果、患者さまのニーズを通して、医師が最適な治療をご提案します。

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