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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.01.29

糖尿病とは、血液中のブドウ糖が慢性的に高くなる病気です。
血糖値を下げるホルモン・インスリンが十分に分泌されない、インスリンが分泌されていても十分に血糖値を下げられないことにより発症します。
糖尿病の診断を受けるには、病院で検査を受ける必要があります。
「糖尿病の検査にはどんなものがあるの?」と気になる方へ、この記事では糖尿病の診断や糖尿病の進行を詳しく調べるための検査について解説します。
糖尿病の初期はほとんど自覚症状がなく、重症になると視力の異常や手足の壊死を起こす可能性があります。検査で血糖値に異常が見つかったら、なるべく早くに医療機関を受診しましょう。
糖尿病に関して、検査値の意味や基準値を知りたい方はぜひ最後までお読みください。
目次
糖尿病の診断に用いられる検査

糖尿病は一般的に1つの指標だけで診断するのではなく、複数の検査値や家族歴、体重や高血糖症状の有無から総合的に診断を行います。
糖尿病の診断に用いられる検査値は、主に次の3種類です。
- 空腹時血糖値
- 75g OGTT(75グラム経口ブドウ糖負荷試験)
- HbA1c
これらの数値は、いずれも血液検査によってわかります。
健康診断で異常な値があったからといって、必ずしも糖尿病とは限りません。医療機関を受診し、医師の判断によって診断がつきます。
それぞれの検査値が持つ意味と、基準値をそれぞれまとめました。
空腹時血糖値
血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度を表す数値です。血糖値の中でも食前の血糖値を空腹時血糖値といい、糖尿病の診断の際に指標の1つとして用いられます。
健康診断で測定する血糖値は、この空腹時血糖値に該当します。
空腹時血糖値の基準値についてまとめました(※1)。
空腹時血糖値 | |
正常値 | 70〜99 mg/dL |
正常高値 | 100 mg/dL〜 110 mg/dL |
境界型 | 110 mg/dL〜 125 mg/dL |
糖尿病型 | 126 mg/dL〜 |
空腹時血糖値の正常値は70〜110 mg/dLですが、そのうち100〜110 mg/dLが正常高値です。正常高値は正常値であるものの、糖の代謝に異常が見られるケースがあります。
一般的に空腹時血糖値が正常高値以上だった場合、次で解説するOGTTを受けることが推奨されています。
(※1 参考)1章 糖尿病診断の方針 糖尿病ガイドライン2024|日本糖尿病学会
75g OGTT(75グラム経口ブドウ糖負荷試験)
75g OGTTとは、糖の代謝が正常に行われているか確認する試験です。糖尿病が疑われる方に対して実施される試験で、ブドウ糖75gを飲んでから2時間後までに採血を行い、血糖値を測定します。
負荷後2時間血糖値についてまとめました(※1)。
負荷後2時間血糖値 | |
正常値 | 〜139 mg/dL |
境界型 | 140 mg/dL〜200 mg/dL |
糖尿病型 | 201 mg/dL〜 |
(※1 参考)1章 糖尿病診断の方針 糖尿病ガイドライン2024|日本糖尿病学会
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、糖尿病の過去1~2カ月のコントロール状態を確認するための指標です。HbA1cの基準値は6.5%未満で、6.5%を超えると糖尿病が疑われます(※1)。
赤血球に含まれる成分・ヘモグロビンに結合するグルコースの割合を調べます。血糖値が食事により短時間で変動しやすいのに対し、HbA1cは食事による変動が少ないという特徴があります。よってHbA1cは長期間の血糖コントロールを調べるのに適した指標です(※2)。
(※1 参考)1章 糖尿病診断の方針 糖尿病ガイドライン2024|日本糖尿病学会
(※2 参考)ヘモグロビンA1c / HbA1c(e-ヘルスネット)|厚生労働省
糖尿病の状態をより詳しく調べるための検査

糖尿病の診断には血糖値やHbA1cが用いられますが、他にも糖尿病を調べるための指標がいくつかあります。
糖尿病をより詳しく調べるための指標をまとめました。
- 尿糖
- グリコアルブミン
- インスリン
- Cペプチド
- 合併症の有無(末梢神経障害、眼障害、腎障害)
これらは糖尿病の進行や糖代謝の異常を調べるために役立ちます。それぞれの指標について、意味や基準値を解説します。
尿糖
尿糖とは尿検査により確認される項目で、尿中にブドウ糖が含まれると「陽性」と判定されます。
ブドウ糖はエネルギー源のため、通常は尿として排出される前に全て体内へ再吸収されます。よって健康な状態であれば尿糖は検出されません。
しかし高血糖や腎機能の異常により、再吸収されないブドウ糖があると尿糖が検出されます。
グリコアルブミン
グリコアルブミンは過去2週間の平均血糖値を反映する数値で、基準値は11〜16%です。HbA1cよりも短期の血糖コントロールを把握するために使われます(※1)。
(※1 参考)糖尿病治療ガイド 2018-2019|糖尿病学会
インスリン
インスリンとは膵臓から分泌され、血糖値を下げるホルモンのことです。血液中のインスリン濃度を測定すると、糖尿病の原因を分析するために役立ちます。
糖尿病には複数の原因があり、その1つにインスリンが十分に分泌されていないことが挙げられます。インスリンが分泌されていても血糖値が十分に下がらない場合、他の原因が考えられるでしょう。
Cペプチド
Cペプチドはインスリンに比例して血液中に分泌される物質で、インスリンを適切に分泌できているか確認する指標になります(※1)
空腹時血中Cペプチド値が0.6ng/mL未満、24時間Cペプチド値が20μg/日以下の場合はインスリンを分泌する能力が十分にない(インスリン依存状態)と考えられます。
(※1 参考)1章 糖尿病診断の方針 糖尿病ガイドライン2024|日本糖尿病学会
合併症の有無
糖尿病は血液中で増えすぎたブドウ糖が毛細血管を傷つけるため、さまざまな合併症を引き起こす病気です。合併症を防ぐためにも、糖尿病を発症した場合は早期に治療を開始して血糖コントロールを行う必要があります。
糖尿病の三大合併症として、次の3つが知られています。
合併症 | 特徴 |
糖尿病網膜症 | 進行すると視力障害を発症する発症・進行を阻止するために定期的な眼科受診が推奨される |
糖尿病腎症 | 進行すると腎機能が低下する一部の糖尿病治療薬、降圧薬が進行を抑制するために有効 |
糖尿病神経障害 | 足のしびれや便秘、下痢など症状は全身にわたる自覚症状のほか、反射などの検査で診断する |
糖尿病を発症した場合、合併症の有無を調べるために血糖値だけでなく全身の状態を検査する場合があります。現時点で気になる症状がある場合、医師に相談しましょう。
まとめ
今回は糖尿病の検査についてまとめました。
糖尿病は症状が進行するまで自覚症状が起こりにくいため、検査結果で異常が見られた段階で早めに治療を始める必要があります。
糖尿病は食事や運動、服薬により改善できます。人により糖尿病の原因や最適な治療は異なりますので、健康診断で血糖値を指摘された方はまず医療機関を受診しましょう。
糖尿病の治療はふくろうの森のクリニックへ

ふくろうの森耳鼻咽喉科では、耳鼻咽喉科のほか内科を診療しています。花小金井駅から徒歩5分の場所にあり、ネット予約が可能です。
「糖尿病について医師に相談したいけど、どのクリニックに通うか迷っている…」という方は、当院でもご相談を承ります。お気軽にご来院ください。

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