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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.01.29

現代の国民病といわれている“糖尿病”。
糖尿病は食事や生活習慣以外にも、さまざまな原因で発症する可能性がある病気です。インスリン注射や飲み薬など、数多くの治療方法がありますが、果たして糖尿病は治る病気なのでしょうか?
今回は【糖尿病は治るのか。治らないのか。】という点に着目し、わかりやすく解説します。
合わせて糖尿病でおこなう検査や治療方法についても、ご紹介します。
糖尿病についてはこちらの記事でまとめていますので、こちらも参照ください。
目次
糖尿病は治る?治らない?
薬剤性糖尿病や妊娠糖尿病など一部の糖尿病以外は、自分の力だったり、薬を使ったりしても治らない病気です。
『病気が治った=完治(かんち)』という状態は、病気の原因がなくなり完全に病気ではなくなった状態を意味しています。現代の医学ではインスリンを分泌する膵臓の働きが弱くなったり、インスリンが分泌されなくなったりしてしまうと、他人の膵臓を移植する以外に膵臓の働きを改善し、糖尿病を治す方法はありません。
このような理由から、糖尿病は治らない病気といわれているのです。
糖尿病は”うまく付き合う”病気

治らない病気、糖尿病。
けれども
「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値がよくなった」
「血糖値が下がった」「糖尿の薬を飲まなくなった」などの話を耳にしたことはありませんか?
実際、このような状態の患者さんは少なくありません。
糖尿病はご自身の身体や生活習慣に合った運動療法や食事療法、薬物療法をおこなうことで、糖尿病でない方と同じ生活を送ることができる病気です。
糖尿病の原因や病状によっては、インスリンはしっかり分泌されているもののインスリンの効きが悪くなっているケースがあります。このような方は、減量や食習慣・生活習慣の見直しでインスリンの効きが改善し、HbA1cや血糖値が正常範囲内に低下し糖尿病の薬が不要になることがあるのです。
しかしこのような状態でも、糖尿病が治ったとは医学的にはいえません。
以前のような生活に戻ってしまうと、HbA1cや血糖値は上昇します。その結果、薬などの治療が必要に逆戻りしてしまうのです。
糖尿病は薬を使わなくてもよいように、使っても最小限に抑えられるように、さらには重篤な合併症を発症しないように上手に付き合っていく病気です。
ふくろうの森耳鼻咽喉科では、患者さんお一人おひとりのインスリンの分泌能力や、生活・運動・食事習慣に合わせて上手に糖尿病と付き合っていけるようサポートをおこなっています。
糖尿病にお悩みの方は、土日も診察・治療をおこなっているふくろうの森耳鼻咽喉科にお気軽にご相談ください。
糖尿病でおこなう検査

糖尿病でおこなう検査は、以下の3つにわけられます。
- 血糖値に関連した検査
- インスリンの働きを調べる検査
- そのほか
順に解説します。
血糖値に関連した検査
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
血糖値は飲食で上昇し空腹時には低下します。
インスリンの効きが悪くなると血糖値が高くなり、高血糖・糖尿病と診断されます。
血糖値に関連した検査には、以下の方法があります。
簡易血糖自己測定 | 簡易血糖自己測定は、自宅でもできるような簡単な検査方法です。指先や耳たぶなどに針を刺し、出てきた血液で血糖値を調べます。この検査で調べられるのは血糖値だけになります。 |
血液検査 | 採血で血液を採取し、その検体で血糖値を調べます。血液検査では、血糖値以外にもHbA1cや糖尿病に関連したホルモン、自己抗体などさまざまな項目を調べることができます。 |
また、血糖値とひとことでいっても、次のような種類があります。
随時血糖値 | 随時血糖値とは、食事と関係ないタイミングで測定した血糖値 |
空腹時血糖値 | 空腹時血糖値とは、10時間以上食事をしない状態で測定した血糖値 |
75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT) | ブドウ糖水を75g飲んだ2時間後の血糖値 |
さらに、血糖値に関連した検査項目には以下があります。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | 血液中のヘモグロビンに糖分がくっついてできる糖化たんぱくの量を調べる検査項目で、過去1~2ヵ月間の血糖値が反映される。貧血だと値が低くなる。 |
GA(グリコアルブミン) | 血液中にある糖がくっついたアルブミンの量を調べる検査項目。過去2~3週間の血糖値が反映される。 |
インスリンの働きを調べる検査
インスリンの働きを調べる検査には、次の検査項目があります。
インスリン | 採血で、血液中にインスリンがどのくらいあるかを調べます。インスリンの分泌量が十分かだけでなく、インスリンの分泌量が多いのに血糖値が下がりにくいのかなど血糖値が高くなる原因がわかります。 |
Cペプチド | 採血や尿検査で、インスリンが分泌される際に一緒に分泌されるCペプチドというたんぱく質の量を調べます。自分の膵臓から、どのくらいのインスリンが分泌されているかがわかります。 |
そのほか
尿検査 | 尿に含まれる糖分を調べます。血糖値が高くなりすぎると、身体の中に再吸収できる許容量を超えてしまい、尿に糖分が排泄されるようになります。また、腎臓の機能が低下したときも、尿に糖分が排泄されてしまいます。 |
遺伝子検査 | 遺伝が原因で、糖尿病を発症している可能性がある場合におこないます。遺伝子検査がおこなえる医療機関は限られていて、町の個人病院では調べられない可能性があります。 |
超音波検査 | インスリンを作る膵臓に病気がないか調べます。 |
糖尿病の治療方法

糖尿病の治療は、一般的に以下の3つをおこないます。
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
順に解説します。
食事療法
食事の内容や量・摂取のタイミングなどを調整し、血糖値が高くならないようにするのが食事療法です。身体に取り込まれる糖分の量を減らすだけでなく、血糖値が急上昇しないように食物繊維の摂取量を増やし、食物繊維から食べはじめるようにします。
そのほかにも、よくかんでゆっくり食べる、満腹になるまで食べないなども食事療法のコツの一つです。
なお、糖尿病だからといって食べていけないものはありません。1日に食べられる糖質・脂質、エネルギー量の範囲内で、バランスよく摂取しましょう。
運動療法
身体を動かすと糖分が消費されます。とくにウオーキングやプールウオーキングなどの有酸素運動は、糖分の消費量が多く血糖値が下がりやすいといわれています。
また筋トレで筋肉量が増えると、インスリンの効きがよくなり、血糖値が下がりやすくなります。
しかし、きつすぎる運動は血糖値を上げるホルモンの分泌を増やしてしまうため、血糖値が上がるのでおすすめできません。
また、運動の効果は数日間続くといわれています。毎日頑張ろうとして続かなくなってしまうのではなく、無理せず続けることがとても大切です。
薬物療法
薬物療法は薬を使って、血糖値をコントロールする治療方法です。
糖尿病の薬物療法では、内服薬(飲み薬)・注射薬を単独もしくは併用して治療をおこないます。
代表的な糖尿病治療薬には、次のような効果があります。
内服薬 | インスリンの分泌をよくするインスリンの効きをよくする糖分の吸収を遅らせる糖分の分解を遅らせる尿に糖を排泄させる |
注射薬 | インスリンの分泌を促すインスリンを補う(いわゆる糖尿病のインスリン注射)血糖値を上げるグルカゴンの分泌をおさえる |
糖尿病の治療はふくろうの森のクリニックへ!

糖尿病は、現代の医学では完治が難しい病気です。
一度発症すると生涯にわたって食事や運動など生活に気をつけ、合併症を発症しないように上手に付き合っていかなければなりません。
東京都小平市の花小金井駅徒歩5分のふくろうの森クリニックでは、耳鼻咽喉科だけでなく内科・皮膚科の病気を患っている患者さんの治療もおこなっています。
土日も診療が受けられますので、ぜひ、お気軽にふくろうの森クリニックへご相談ください。

参考資料
1)糖尿病 一般社団法人日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=11
2)糖尿病診療ガイドライン2024
https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4
4)糖尿病とは 糖尿病情報センター 国立国際医療研究センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html#01
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