突発性難聴とは
突発性難聴(Sudden Sensorineural Hearing Loss, SSNHL)は、突然片耳が聞こえなくなる原因不明の感音性難聴です。通常、数時間から数日以内に発症し、適切な治療を受けなければ聴力が回復しない可能性があります。
- 突然、片耳の聴力が低下する(両耳同時は極めて稀)
- 耳鳴りやめまいを伴うことが多い
- 発症から2週間以内の治療が重要(早期治療で回復率が上がる)
突発性難聴の原因
1. 内耳の血流障害(最有力説)
- 内耳(蝸牛)の血流が突然低下し、酸素や栄養不足で細胞がダメージを受ける
- ストレス・睡眠不足・過労が原因で血流障害が起こることが多い
- 動脈硬化や血栓による血管の詰まりも関与
2. ウイルス感染
- 風邪やインフルエンザ後に発症することがある
- ヘルペスウイルス・ムンプスウイルス(おたふく風邪)が関与する可能性
3. 免疫異常
- 自己免疫疾患により内耳が攻撃され、炎症が起こる
- メニエール病との関連も指摘されている
4. 耳の外傷や騒音
- 爆音(ライブ・工事現場・ヘッドホンの大音量)
- 飛行機やダイビングでの急激な気圧変化
- 頭部外傷(事故・転倒)
5. その他の要因
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症(血流障害を引き起こす)
- 薬剤(抗がん剤・抗生物質・NSAIDsなど)の副作用
突発性難聴の症状
- 突然の片耳の難聴(軽度~完全に聞こえない)
- 耳鳴り(「キーン」「ジー」という高音)
- 耳が詰まった感じ(耳閉感)
- めまい・ふらつき(約30~40%の人に発生)
- 吐き気・嘔吐(重症例)
朝起きたら片耳が聞こえない、突然耳が詰まる感じがする場合は、すぐに耳鼻科へ。
突発性難聴の診断
1. 聴力検査
- オージオメトリー(純音聴力検査)
- 3つ以上の周波数帯で30dB以上の聴力低下があると突発性難聴と診断
2. ティンパノメトリー(鼓膜の動きの検査)
- 中耳炎など他の疾患を除外するために実施
3. MRI検査
- 脳腫瘍(聴神経腫瘍)を除外
- 血流異常や炎症の有無を確認
突発性難聴の治療
発症から48時間以内の治療が最も効果的。
発症後2週間以内に適切な治療を受けることで、回復の可能性が高まる。
1. ステロイド療法(第一選択)
- プレドニゾロン、デキサメタゾンなどのステロイドを内服または点滴で投与
- 内耳の炎症を抑え、血流を改善する
- 重症例では鼓室内注射(ステロイドを直接中耳に注入)を行うことも
2. 血流改善薬
- プロスタグランジンE1(PGE1) → 血管を拡張し、内耳の血流を改善
- 低分子デキストラン → 血液の流れを良くし、血栓を防ぐ
3. 高気圧酸素療法
- 酸素カプセルのような装置に入り、高濃度の酸素を吸入
- 内耳の低酸素状態を改善
- 重症例や標準治療で改善しない場合に実施
4. ビタミンB12(メコバラミン)
- 神経修復作用があり、聴力回復をサポート
- 耳鳴りの改善にも効果的
5. 生活習慣の改善
- ストレスを避ける(交感神経を抑え、血流を改善)
- 十分な睡眠(内耳の回復を促す)
- カフェイン・アルコールを控える(血管収縮を防ぐ)
- タバコをやめる(血流を悪化させるため)
まとめ
突発性難聴は、突然片耳が聞こえなくなる原因不明の感音性難聴で、耳鳴りやめまいを伴うことが多い疾患です。発症から2週間以内の治療が重要で、特に48時間以内の治療開始が最も効果的とされています。
主な原因は内耳の血流障害やウイルス感染、免疫異常などで、診断には聴力検査やMRI検査が行われます。治療はステロイド療法が第一選択で、血流改善薬や高気圧酸素療法が併用されることもあります。
早期発見・早期治療が聴力回復の鍵となるため、突然の難聴や耳鳴りを感じたら、すぐに耳鼻科を受診することが重要です。
FAQ
よくあるご質問
- Q
- どのような検査や診断を行っていますか?
- A
- 当院では、耳鼻咽喉科・内科・皮膚科領域の検査や診断方法を提供しています。
- Q
- 花粉症で毎年悩まされています。どうしたら症状が軽減されますか?
- A
- 症状が出てから治療を開始するよりも、花粉が飛ぶ前から薬を予防的に内服すると効果がいいとされ奨励されています。また、通年での治療になりますが、「舌下免疫療法」で症状の改善が期待できます。
- Q
- 自分(親)が受診したいのですが、その間子供の面倒を見てもらえますか?
- A
- 短時間であればスタッフが見ますので遠慮せずご相談ください。ただし処置や検査などで時間がかかると予想される場合や、お子さんが騒いだりしてスタッフが面倒をみれない場合は事故防止のため、他の病院で診察をお願いしたり、もしくはお子さんを他の方に預かっていただき、再度改めてご本人だけで来院をお願いすることもありますのでご了承ください。
- Q
- 予約は必要ですか?
- A
- お電話または予約システムよりご予約下さい。