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医療コラム

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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人

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2025.01.30

中耳炎は、3歳までに約80%のお子さんが1度はかかるといわれているくらい、子どもがかかりやすい病気の一つです。中には繰り返して発症してしまう子どもも多いのですが、なぜ子どもは中耳炎になりやすいのでしょう。今回は子どもの中耳炎に着目し、中耳炎で耳が痛い理由や子どもの中耳炎の原因、治療方法、日常生活の注意点をわかりやすく解説します。

子どもの中耳炎で耳が痛くなる理由

子どもの中耳炎で耳が痛くなる理由は、鼓膜の奥にある中耳に炎症がおこり、膿や滲出液が溜まって鼓膜を圧迫するからです。

溜まっている膿の量が少ないと、違和感程度に感じることも少なくありませんし、溜まっている膿の量が多いと耳だけでなく頭も痛く感じることもあります。

子どもの中耳炎の原因

子どもが中耳炎になりやすいのは、次のような複数の原因があるからだといわれています。

  • 耳・顔が解剖学的に成長途中だから
  • 免疫力が弱く風邪をひきやすいから
  • 自分で鼻がかめないから
  • 扁桃肥大(アデノイド)などを合併しているから
  • ダウン症や口蓋裂な先天的な構造異常を伴う場合
  • 集団保育や親の喫煙など環境的な要因がある

順に解説します。

耳・顔が解剖学的に成長途中だから

子どもの耳管(鼻の奥と耳をつなぐ管)の構造は、大人と比べて太く・短く・水平になっています。そのため鼻やのどの細菌やウイルスが、中耳腔に入り込みやすくなっています。

さらに小さな子どもは、耳の中の空気の通りをスムーズにする耳管の能動的換気能の発達も不十分です。風邪を引いたり体調を崩すと、耳の換気のバランスが崩れてしまい中耳腔の中が陰圧になって、余計に鼻やのどの細菌やウイルスが、中耳腔に入り込んでしまうのです。

免疫力が弱く風邪をひきやすいから

子どもたちは、母親からさまざまな病気の免疫をもらって生まれてきます。しかし母親からもらった免疫(移行抗体)は、生後6~12か月頃になくなってしまいます。そのため、子ども自身の免疫が発達する生後2歳頃まではどうしても風邪を引きやすく、風邪をきっかけに中耳炎になりやすいといわれています。

自分で鼻がかめないから

鼻水には細菌やウイルスがたくさん含まれています。こまめに鼻をかみ鼻水を溜めないようにすることで、細菌やウイルスを効果的に体の外に排出しますが、小さな子どもたちは自分で鼻をかむことができません。

その結果、鼻水が鼻の中や奥に溜まってしまい、耳管の形態の未熟さも相まって、簡単に中耳腔に細菌やウイルスが入り込んでしまい、中耳炎になってしまうのです。

扁桃肥大(アデノイド)などを合併しているから

扁桃肥大(アデノイド)が大きすぎると、耳管ののど側の通り道を塞いでしまい、耳管の換気が悪化し中耳炎になりやすくなります。

ダウン症や口蓋裂な先天的な構造的特徴を伴う場合

ダウン症のお子さんは口の中の構造に対して舌が大きく、鼻や顔つきも特徴的で耳や鼻が小さいために、細菌やウイルスが中耳腔に入りやすい傾向があります。

さらに口蓋裂のお子さんは、上あごが欠損していて鼻と口の中が容易に交通してしまうことや、陰圧になりにくいことから細菌やウイルスが中耳腔に入りやすい傾向があります。

環境的な要因があるから

子どもの中耳炎の原因には、次のような環境的要因が指摘されています。

要因理由
おしゃぶりを使う・授乳の姿勢おしゃぶりを使ったり、仰向けで授乳をしたりすると、耳管圧が変化するため耳管感染をおこしやすい
喫煙母親が喫煙者の場合、中耳炎のリスクが高くなる
母乳栄養の有無人工乳のみの子どものほうが、母乳や混合栄養の子どもよりも中耳炎になる確率が高い
ワクチン接種の有無肺炎球菌やインフルエンザにかかると、免疫力や耳管機能の低下を招き中耳炎になりやすくなる傾向がある肺炎球菌やインフルエンザのワクチン接種を受けていると、発症リスクが下がり中耳炎の発症リスクも下がる
集団保育・兄弟姉妹の存在繰り返して中耳炎になる子どもの75%が保育園や幼稚園に通っているという報告があるまた、きょうだいも通園しているケースを含めると 96.5%にのぼるという報告がある

子どもの中耳炎の治療方法

子どもの中耳炎の治療では、以下のような方法を組み合わせて症状の軽減・完治を目指します。

  • 鼻をかむ・鼻水を吸う
  • 抗生物質を飲む
  • 通気
  • 鼓膜切開やチュービング

順に解説します。

鼻をかむ・鼻水を吸う

風邪の原因の細菌やウイルスが、鼻の中や鼻の奥に溜まらないように鼻水をかんだり、鼻水を吸ったりしましょう。

自分で鼻をかめない小さな子どもの場合は、ご家庭で鼻水を吸う機械を使ってこまめに鼻水を吸い取り、鼻水がたまらないようにしてください。

ご家庭で上手くできない場合は、耳鼻科や小児科で鼻水を吸ってもらえますので、お気軽にご相談ください。

抗生物質を飲む

何らかの感染症が原因で中耳炎を発症していたり、中耳の炎症がひどかったりする場合に、抗生物質を飲むことがあります。

抗生物質を服用すると、完治するまでの期間が短くなったり、痛みが軽減したり、反対側の耳も中耳炎をおこす可能性が下がることがわかっています。

しかし、中耳炎の原因や症状によっては抗生剤を服用しないほうがよいケースもあるため、自己判断での服用は避け医師の指示に従って正しく服用しましょう。

通気

通気(つうき)とは耳管(じかん)という耳鼻科専用の医療器具を使って耳の中に空気を送る治療方法です。通気をおこなうと中耳の換気が改善され、浸出液の排出を促す効果が期待できます。1回だけよりも、週1~2回継続しておこなうことで症状の改善が期待できます。

鼓膜切開やチュービング

鼓膜に穴をあける鼓膜切開(こまくせっかい)や鼓膜に開けた穴にチューブを入れるチュービングは、いずれも中耳に溜まった浸出液を排出し、中耳炎を治りやすくする目的でおこなわれる治療です。

一般的には初めに鼓膜切開をおこなって、浸出液を出しやすくして中耳炎の完治をめざします。鼓膜切開を繰り返しても滲出性中耳炎が改善せず、反復性中耳炎や難治性中耳炎、癒着性中耳炎になってしまっているケースではチュービングをおこないます。

一般的に子どもの場合は外来もしくは入院して、処置をおこないます。

子どもの中耳炎|知っておきたい日常生活の注意点

最後に子どもが中耳炎になったときに、知っておきたい日常生活の注意点を耳鼻科医が簡単に解説します。

なお、お子さんお一人おひとりの症状や経過・治療内容によって注意していただきたいことが異なりますので、必ず医師の指示に従うようにしてください。

通園・登園・通学しても大丈夫です

中耳炎でも、いつもと変わった様子がなければ通園・登園・通学しても大丈夫です。

ただし熱や耳の痛み、だるさ、食欲がないなどいつもと違う様子がある場合は無理をせず、自宅でゆっくり過ごす方がよいでしょう。

お風呂やプールにも入れます

一般的には、熱や耳の痛みなど耳の炎症が疑われる症状がなければ、お風呂やプールに入っても大丈夫です。

しかし、発熱や痛みなどがあるときはプールに入るのを避けたほうがよいでしょう。その理由は、プールの塩素が耳や鼻の粘膜を刺激し、症状がひどくなってしまうケースが報告されているからです。

また鼓膜切開やチュービングなど、治療によってはプールに入るのを避けたほうがいいケースもありますので、必ず医師の指示に従いましょう。

お友達にうつることはありません

中耳炎は、耳や耳だれを触ってもお友達にうつしてしまう心配はありません。また、お友達からうつることもありませんので、安心してくださいね。

子どもの中耳炎治療は、ふくろうの森耳鼻咽喉科へ!

子どもは中耳炎になりやすいだけでなく、繰り返して発症するお子さんも多い病気です。早期に適切な治療をおこなわないと耳の聞こえが悪くなって、言葉の理解や発音に支障を来すだけでなく、学習や成長・発達に影響を与える可能性もゼロではありません。

中耳炎は早期発見・早期治療に加えて、完治まで根気良く治療を続ける必要がある病気です。

東京都小平市の花小金井駅徒歩5分のふくろうの森耳鼻咽喉科では、子どもからご年配の方までさまざまな年代の方の「みみ・はな・のど」の治療をおこなっています。

子どもの中耳炎の治療も積極的におこなっていますので、お気軽にふくろうの森耳鼻咽喉科へご相談ください。

参考資料

どうして子どもは中耳炎になりやすいのか? 日本小児感染症学会若手会員研修会第5回福島セミナー  小児感染免疫 Vol.26 No.4503 2014

https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/02604/026040503.pdf

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