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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.01.30

耳の入り口である耳たぶと、耳の穴~鼓膜までの部分を外耳(がいじ)といい、この部分に何らかの原因で炎症がおこった状態を外耳炎(がいじえん)といいます。
外耳炎は過度の耳かきや長時間のイヤホンの使用など外的な刺激や、感染症などさまざまな原因で発症する可能性がある病気です。日常の些細な刺激や行動で発症している患者さんも多く、過度な耳かきをやめる、長時間イヤホンを使用しないなど行動を改善しないために、なかなか治らないケースも少なくありません。
本記事では外耳炎がどのような病気なのか、原因や症状・治療方法を解説します。また、外耳炎と中耳炎の違いについてもわかりやすく説明しています。記事の公判では、外耳炎の患者さんから多い質問をまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
外耳炎とは?

外耳炎とは、外耳と呼ばれる耳の入り口から耳の穴・鼓膜までの部分に炎症をおこした状態で、次のような症状が現れます。
- かゆい
- 痛い
- 耳だれが出る
- 耳が腫れる
- 熱が出る
- 耳がつまった感じ
- 耳鳴り
外耳炎の症状が酷くなると、耳が聞こえにくくなったり、全く聞こえなくなる難聴になったりしてしまう危険性もあります。
外耳炎と中耳炎は何が違う?

外耳炎と中耳炎は、炎症がおこる場所が異なります。
外耳は耳の入口から鼓膜までの部分、中耳は鼓膜より奥の部分のことで、炎症がおこった場所によって外耳炎や中耳炎と呼んでいるのです。
また外耳炎や中耳炎になってしまう原因も、以下のように違っています。
外耳炎 | 中耳炎 |
耳掃除で耳の中を傷つける水泳や入浴で水が入ったままになっているイヤホンを長時間使用している | のどや鼻の風邪を引いた鼻水をすする鼻水をうまくかめない(鼻水が溜まっている)小学生くらいまでの子どもに多い |
外耳炎の原因
外耳炎は、次のような原因でおこりやすいといわれています。
- 耳に傷ができた
- 中耳炎の炎症が波及している
- 耳掃除をやりすぎている
- 長時間イヤホンをしている
- ストレスがある
- アレルギー
順に解説します。
耳に傷ができた
外耳炎は外耳に傷ができて、その傷から感染症になった状態のことです。外耳に傷ができるような行動には、次のようなものがあります。
- 耳掃除のしすぎ
- イヤホンを長時間使用する
- よく耳をさわる癖がある
- 虫刺され
- アトピーやアレルギー体質
- 入浴やシャワーで耳に水が入った
- 泳ぐときに耳栓をする
耳掃除のやりすぎや、イヤホンの使用による中耳炎は発症頻度が多いため、このあと詳しく解説します。
中耳炎の炎症が波及している
鼓膜よりも奥の部分の中耳に炎症がおこる中耳炎が悪化すると、その炎症が鼓膜よりも外側にある外耳に波及し外耳炎を発症することがあります。
また耳だれが外耳の皮膚に触れ、小さな傷から炎症をおこしてしまうケースもあります。
耳掃除をやりすぎている
耳掃除をやりすぎると、外耳炎になりやすいといわれています。
その理由は、奥まで掃除しようとして耳を傷つけてしまったり、外耳を保護する役割のある耳垢かまで取ってしまったりする可能性があるからです。
長時間イヤホンをしている
長時間イヤホンをしていると、耳の穴に長時間にわたって物理的な刺激を与えることになります。その結果、耳に傷ができたり、傷から感染をおこしたりして外耳炎を発症してしまうのです。
なお、長時間イヤホンを使用する以外にも、次のような原因で外耳炎になることがあります。
- 汗をかいて耳の中が湿ったままになっている
- イヤホンを耳に押し込む
- 耳に合わないイヤホンを使っている
- 硬いイヤホンを使う
ストレスがある
ストレスは自立神経を乱れさせ身体の抵抗力を下げ、感染症になりやすくさせます。さらに、ストレスを感じるときに分泌される糖質コルチコイドというホルモンは、傷を治りにくくする作用があります。
普段なら数日で自然に治るような外耳の傷も、ストレスがあると酷い外耳炎になってしまうことがあるため注意が必要です。
アレルギー
アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など、何らかの原因で皮膚が炎症をおこしていてそれが、外耳にもおこると外耳炎と診断されます。
シャンプーや整髪料、枕などのリネン類の刺激が外耳炎の誘因になることもあります。
外耳炎の症状

外耳炎では、次のような症状がおこりやすいです。
- 耳がかゆい
- 耳が痛い
- 耳だれが出る
- 聞こえにくい
- 口を開けると耳が痛い
- 耳がつまった感じがする
順に解説します。
耳がかゆい
外耳に炎症がおこるとかゆみが生じます。とくに真菌(しんきん)という、カビの一種に感染してしまうと、我慢できないくらいかゆくなることもあるのです。
また、アレルギーが原因で外耳炎を発症しているケースでは、汗をかいたり、寒暖差があったり、シャンプーなどの刺激でかゆみが強くなる場合もあります。
耳が痛い
外耳に炎症がおこると、耳の穴や耳たぶ、耳の中に痛みを感じます。耳たぶを引っ張ったり、耳を触ったりすると痛みが強くなる特徴があります。
耳だれが出る
耳だれは、別名”耳漏(じろう)”ともよばれる、耳から出る液体のことです。耳だれの性状は、外耳炎の原因によって以下のように異なります。
性状 | 原因 |
さらさらしている | 外耳を傷を傷つけたときに出やすい。細胞から出る液体で滲出液とも言います。 |
ドロッとしている膿が出る | 外耳が感染しているときに出やすい。細菌やウイルス・白血球などの死骸が液体になっている |
このほかに血が混じっていたり、匂いがしたりなど外耳炎の原因によってさまざまな耳だれが出ます。
聞こえにくい
外耳炎で耳の中が腫れたり、膿が溜まったりすると耳の穴が狭くなって音が伝わりにくくなって、聞こえにくく感じることがあります。
口を開けると耳が痛い
口を開けると、あごの周囲の関節や筋肉や靱帯が動きます。これらの関節や筋肉・靱帯は耳に近く、動かした刺激を受けやすいだけでなく、外耳炎の炎症が下あごの関節にも波及して動かしただけでも痛みを感じてしまいます。
耳がつまった感じがする
外耳炎になると、耳の中(外耳道:がいじどう)が腫れて、耳の中の空気の通りが悪くなり耳がつまった感じがします。同時に耳の聞こえにくさを感じる方もいます。
外耳炎の治療方法

代表的な外耳炎の治療は以下のとおりです。
- 点耳薬や軟膏を塗る
- 薬を内服する
- 外耳を清潔にする
- 外耳への刺激を避ける
- 受診し耳洗浄を行う
順に解説します。
点耳薬や軟膏を塗る
外耳炎の治療では、耳の穴に直接塗布して炎症を抑える点耳薬や軟膏を使用します。点耳薬(てんじやく)とは、目薬のような容器に入った抗生物質やステロイドなどの薬を、耳の穴に直接投与するものです。
患部に直接薬を塗布するため、薬を飲むよりもより効果的に耳の穴の炎症を和らげたり、細菌感染を抑えたりする効果が期待できます。
薬を内服する
点耳薬や軟膏だけでなく、薬を内服する場合もあります。外耳炎の炎症が耳の穴だけでなく、耳たぶやその周囲にも及んでいる場合など、広範囲にしっかりと薬を効かせたいときに使用します。
外耳を清潔にする
外耳炎の原因の中には、耳垢などの汚れが溜まっていたり、水が入って湿った状態が続いたために真菌(カビ)による炎症がおこったりしているケースがあります。
これらの原因で外耳炎がおこっている場合には、耳を清潔にすることが重要です。
ただし、耳掃除は一生懸命毎日おこなう必要はありません。数週間~1ヶ月に1回程度の頻度で、耳の穴の中の掃除を。耳たぶの部分は、入浴時に絞った清潔なタオルやガーゼで優しく拭くなどして、清潔を保つように心がけてください。
外耳への刺激を避ける
耳掃除をしすぎたり、指でひっかいてしまったり、イヤホンを長時間使用してしまったり……。さまざまな理由で、外耳に傷がついて外耳炎をおこしているケースでは、できるだけ外耳への刺激を避けることが、症状の改善には重要です。できるだけ耳を触らないようにしましょう。
外耳炎に関するよくある質問

外耳炎に関するよくある質問に回答します。なお、この回答はあくまでも一般的な経過をたどった場合を想定しています。症状や治療の経過については、かかりつけの耳鼻科医に確認してください。
Q:外耳炎はどれくらいで治りますか?
軽症の外耳炎であれば、数日で自然に治ることがほとんどです。
膿が出たり、熱が出たり、腫れたりするようなひどい外耳炎は、傷ができている場合は1~2週間程度、真菌(カビ)に感染している場合は1か月程度治療をする必要があります。
ごくまれにですが外耳炎を繰り返してしまうと、治るまでに数か月かかるケースもあります。
Q:外耳炎を放置するとどうなりますか?
外耳炎を放置すると、炎症がひどくなって熱が出たり、耳の聞こえが悪くなったりする可能性があります。
耳の痛みや違和感を覚えたり、耳だれが出たりする場合は、早めにお近くの耳鼻科を受診してください。
Q:自力で外耳炎を治すことはできますか?
軽い外耳炎であれば、耳を触らないようにして様子を見ていると数日で治るケースもあります。しかし耳だれや痛み、腫れ、発熱を伴うような酷い外耳炎の場合は、自分で治すことは難しいため早めに耳鼻科の受診をご検討ください。
Q:繰り返して外耳炎になります。なぜでしょうか?
もしかすると、知らず知らずのうちに外耳炎になりやすい行動をしているかもしれません。
以下の行動に心当たりはありませんか?
- 耳掃除のしすぎ
- イヤホンを長時間使用する
- よく耳をさわる癖がある
- 虫刺され
- アトピーやアレルギー体質
- 入浴やシャワーで耳に水が入った
- 泳ぐときに耳栓をする
生活習慣を見直し、外耳への刺激を減らすと外耳炎になりにくくなることが期待できます。
また、外耳炎の治療を途中でやめてしまうと、外耳炎が再発することがあります。真菌(カビ)の感染の場合、平均1か月程度は何度も受診をして治療を受けなければなりません。繰り返して外耳炎にならないために、医師の指示を守って治療しましょう。
Q:なかなか外耳炎が治らないときは、どうすればいいですか?
外耳炎が治らないときは、まずは耳鼻科で根気よく治療を続けてください。真菌(カビ)の感染やアトピーなど原因によっては、外耳炎が治りにくいケースもあるからです。
また、強いストレスを感じていると傷が治りにくくなりますので、ストレスを発散し体調を整えるようにしましょう。
同時に、外耳炎になりやすい生活習慣をしていないか、あらためてチェックしてみてください。イヤホンを長時間使用したり、頻繁に耳掃除をしたり、耳を触る癖があったり……。知らず知らずのうちに、外耳炎が治りにくい生活をしているかもしれません。
東京都小平市のふくろうの森クリニックでは、なかなか治らない外耳炎にお悩みの方のご相談にも乗っています。患者さんお一人おひとりの外耳炎の原因を調べ、少しでも早く外耳炎が治るように治療をおこなっておりますので、なかなか治らない外耳炎にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
外耳炎の治療はふくろうの森クリニックへ!
外耳炎は耳掃除のしすぎや、長時間のイヤホンの使用など、日常生活の些細な習慣から発症しやすい病気です。軽症の外耳炎は数日で良くなりますが、体調が悪かったり、外耳の傷に細菌や真菌が感染すると重症化して、耳だれや発熱などの症状を伴うことがあります。最悪の場合、耳の聞こえが悪くなってしまうケースもありますので、外耳炎は重症化させず早く治すことがとても重要なのです。
東京都小平市の花小金井駅徒歩5分のふくろうの森クリニックでは、子どもからご年配の方までさまざまな年代の方の「みみ・はな・のど」の治療をおこなっています。
外耳炎だけでなく、副鼻腔炎や鼻炎、花粉症、耳鳴り、難聴など耳や鼻に関するさまざまなお悩みにも対処していますので、お気軽にふくろうの森耳鼻咽喉科へご相談ください。

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