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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.04.28

アトピー性皮膚炎は子どもだけでなく、大人になってからも発症します。
大人のアトピー性皮膚炎は子どもと比べて、原因や好発部位(症状が出やすい部位)が異なります。
自然に完治することはないため、症状を安定させるために対症療法や保湿が必要です。
この記事では大人のアトピー性皮膚炎の特徴や原因、治療する方法について解説しています。
大人になってからアトピー性皮膚炎を発症した人や、「もしかしてアトピーかも?」と不安に思っている方はぜひ参考にしてください。
目次
大人になってからアトピー性皮膚炎を発症することもある
アトピー性皮膚炎は一般に乳幼児・小児期に発症し、成長するとともに治っていく傾向があります。しかし一部の患者さんでは、大人になってから成人型のアトピー性皮膚炎に移行すると考えられています。

東京大学、近畿大学、旭川医科大学の3大学の職員検診によると、アトピー性皮膚炎の年齢別有症率は20歳代で10.2%、30歳代で8.3%でした(※1)。
グラフやデータより、加齢により発症率は減少するものの、若い成人でもアトピー性皮膚炎を発症する頻度が高いことがわかります。
(※1 参考)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024|日本皮膚科学会
大人のアトピー性皮膚炎の特徴

同じアトピー性皮膚炎でも、小児、幼児と大人では特徴が異なります。
アトピー性皮膚炎の症状は年齢とともに変化しますが、かゆみ、左右対称に湿疹が起きる点は共通しています。
発症する時期ごとに特徴をそれぞれまとめました。
時期 | 乳児期 | 幼小児期 | 思春期・成人期 |
好発部位(症状が出やすい部位) | 頭・顔しばしば体幹・手足 | 頸部・手足の折れ曲がる部分 | 顔・頸部・胸・背中・手足の折れ曲がる部分 |
皮膚の状態 | 顔や頭部に始まり、体幹に広がる皮膚はじゅくじゅくする傾向 | 皮膚全体が乾燥掻いた跡が残り、皮膚が硬く厚くなる | 皮膚全体が乾燥頸部~上胸部にかけて色素沈着が見られる |
アトピー性皮膚炎の診断基準は次の通りです(※1)。
- かゆみがある
- 皮膚の赤みや肥厚など、特徴的な皮膚症状が左右対称に見られる
- 慢性的に、または繰り返し症状があらわれる(乳児では 2ヵ月以上,その他では 6 ヵ月以上を慢性とする)
(※1 参考)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024|日本皮膚科学会
アトピー性皮膚炎の一般的な解説については、こちらの記事を参考にしてください。
大人のアトピー性皮膚炎が起こる原因

アトピー性皮膚炎は遺伝や環境、アレルギー、皮膚のバリア機能低下など複数の要因が重なって発症します。乳幼児では食べ物が、乳幼児以降は環境要因(ダニ、ハウスダスト)がアレルゲンになることが多いです。
アトピー性皮膚炎の原因となる要素をまとめました。
遺伝的な要因 | アトピー素因 | |
環境的な要因 | アレルゲン | ダニ、ハウスダスト化粧品、金属との接触アレルギー |
アレルゲン以外の刺激 | 乾燥による皮膚のバリア機能低下熱や汗ウールなど、衣服の繊維ストレス |
大人のアトピー性皮膚炎を治療する方法

アトピー性皮膚炎の治療では、主に皮膚の炎症を改善する対症療法が行われます。
アトピー性皮膚炎の治療薬には外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)、注射薬の3種類があります。
基本的には外用薬による治療が中心です。
ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏で皮膚の炎症を抑えながら、保湿剤を使って皮膚の乾燥を改善します。症状や部位に合わせて複数の外用薬が処方されることがあるため、医師の指示を守って使いましょう。
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬が処方されます。また外用薬、内服薬の治療で症状が改善しない場合、注射薬を使用する場合もあります。
薬の種類ごとに特徴や薬の例をまとめました。
薬の種類 | 特徴 | 薬の例 |
外用薬(塗り薬) | 皮膚の乾燥を防ぐ | 保湿薬 |
皮膚の炎症を抑える | ステロイド外用薬免疫抑制薬(タクロリムス) | |
内服薬(飲み薬) | かゆみを抑える | 抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬 |
過剰な免疫を抑制する | 免疫抑制薬(シクロスポリン) | |
注射薬 | 他の治療で効果が見られなかった場合に使用炎症に関わる物質を抑制する | 生物学的製剤 |
アトピー性皮膚炎の治療薬について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
大人のアトピー性皮膚炎は治らない?対症療法が中心

アトピーを原因から完治させる治療方法はまだ確立されていません。よって治療は対症療法が中心です。
アトピー性皮膚炎では一度症状が改善しても、乾燥やアレルギー、ストレスなどの要因によりぶり返してしまう場合があります。
しかし症状に応じた適切な治療やアレルゲンの除去、皮膚の保湿を続けることで症状をコントロールすることは可能です。
アトピー性皮膚炎の症状が良くなっても保湿は続け、再び症状が出たら治療薬を使いましょう。
当院でもアトピー性皮膚炎の治療を承っています

今回は大人になってからのアトピーの原因や症状、治療や予防の方法について解説しました。
大人のアトピーが自然に治ることはないため、薬による対症療法が治療の中心になります。完治は難しいものの、アレルゲンの除去、皮膚の保湿を続けていれば症状が落ち着くことはあります。根気よく治療を続けましょう。
アトピー性皮膚炎の治療には、症状に合った薬を使うことが大切です。大人になってからのアトピー性皮膚炎に悩んでいる方は、一度皮膚科を受診しましょう。
ふくろうの森クリニックでは耳鼻咽喉科・内科・皮膚科の診療を受け付けています。当クリニックは花小金井駅より徒歩5分の場所にあり、ネット予約も可能です。
「最近体がかゆくてつらい」
「もしかしたらアトピーかもしれない」
このような方は一人で悩まず、ぜひ一度当院へご相談ください。
医師が患部を診察して、患者様一人ひとりに合った治療を提案いたします。

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